【デートスポット】






!!もうすぐクリスマスじゃん!?」

「うん、そうだね」

ソファに腰掛け雑誌を見ている

俺の言葉に無反応で空返事・・・寂しいなぁ。

空いているの横へ同じ様に腰を下ろし密着。

「今年のクリスマスはさぁ!最近出来た、あの有名スポット行ってみない?」

「え・・・!?マジで言ってんの?」

「マジだよ!?」

「だって敏弥・・・仕事でしょ?」

「そうだけど!!夜には終わるからさ!!」

「・・・それ去年も聞いた・・・。私、一人気合い入れて準備万端だったのに敏弥が帰って来たの何時だっけ?」

「う・・・ごめん。でもっ!今回は何があっても早く帰って来るからさ?信じてよ!!俺のこの目を見て?」



こうやって俺がを見つめると、いつもすぐ折れてくれるんだ。

汚い手だけど、こうでもしないとは話に乗って来てくれないだろうと思って。

去年の事もあるしね・・・。

心の中では苦笑いを浮かべながら、必死にを見つめ続ける。



「・・・分かった。ほんとにちゃんと帰って来てくれるんでしょうね?」

「ほんとだって!!仕事終わったらダッシュで帰って来るから!!それから二人で・・・行こ?」

「うん!!楽しみにしてる!!でも・・・・・・・・今回すっぽかしたら、ただじゃおかないからね?」

「わ・・・分かってるよ!!」

の鋭い眼光に冷や汗を垂らしながら答える。




























そしてクリスマス当日。



「ねぇ、薫くん!俺・・・もう帰っていいかな?」

「あぁん!?何言うとんねん!!敏弥!!」

「や・・・だって俺の音入れは終わったじゃん?だから・・・さ」

「自分の仕事が終わったらさっさと帰る・・・そんな薄情な人間やったんか!?お前は!?」

「あ・・・そういう意味じゃなくて・・・」



「彼女・・・やろ?」

「し・・・心夜!!」



こいつ・・・余計な事言いやがって!!

薫くんには彼女居ないから、その事には触れずに丸く治めようとしたのに・・・!!!



「はぁ〜ん!彼女ねぇ・・・よろしいなぁ!!くっだらんイベント事にうつつ抜かして仕事ほったらかしか!?えぇ!?」

「や・・・だから仕事はちゃんとしたじゃん?今日だけ・・・今日だけは帰らせてよ!!頼むよっ!!薫くん!!」

「アカンっちゅ〜たらアカンのじゃ!!お前には俺等が帰ってもここにおってもらおうか?」

「何で、いつもそんなに極端なんだよ〜・・・」



それもこれも全て・・・心夜のせいだ!!!!!

キッと心夜を睨むと・・・そこにはもう心夜の影すらなく・・・・・・何だってんだよーー!!!!!

ふざけんなよーー!!!!!










「なぁ、薫くん?ちょっと・・・」

「何や!?京くん!!!」

「何そんなに怒ってん?」

「やかましいわっ!!クソ敏弥が・・・!!!」

「あんな、表に薫くんに会いたいって女の子が・・・」

「うるさい!!っちゅってるやろっ!!!京くんも早よ、歌入れ行けや!!!・・・・・・って、えぇ!?!?」

「・・・遅いねん・・・・・・・」

「おおお女の子!?お・・・俺に会いたいって!?それ、ほんまか!?」

「うん」

「よっしゃ!!今日のレコーディングはここまで!!解散!!!」





おいおい・・・単純すぎね〜か?

これが俺達のリーダーだなんて・・・悲しい・・・。



ま、でも!これで早く帰れる!!良かった!!

薫くんも今年は楽しいクリスマス迎えられるみたいだしね!!

























猛ダッシュで家まで。

・・・と、もうの準備は整っていて・・・・・・・・・・・・可愛い!!!

いつもとはまた少し雰囲気の違う服装と化粧。

そんなに見とれていると

「敏弥も早く着替えて!その格好で行くわけじゃないでしょ?」

そう言って微笑む



だから!可愛すぎだって!!!

心の中で何度も絶叫を繰り返す。





そんなこんなで俺もちょっといい服に着替えて出掛ける準備をする。


















向かうは例の有名なデートスポット!!





・・・って!人多すぎじゃん!!

物凄い人ごみの中、チラチラと人の間から見えるイルミネーションには、はしゃぎっぱなし。

こんなに楽しそうな久しぶりに見るなぁ・・・。

最近は俺の仕事が忙しくて、どこへも連れてってやれなかったからなぁ。



「ねっ!敏弥!見て見て!すっごいね!!すっごいね!!」

「テレビで見るのと全然違うね!!やっぱ自分の目で見るのが一番だよね!!」

「わっ!おっきなツリー!」



と、興奮気味なは一人で喋りまくっている。

そんなを見て・・・来て良かったと密かに感動なんかしてたりして・・・。





「とっしや!敏弥!あっちにトナカイさんが!可愛い!」

電飾で飾られたトナカイを発見したは更に興奮。

そして俺の手を引っ張り駆け出す。

「そんなに急がなくてもトナカイは逃げないよ」

「だって!早く目の前で見たいじゃん!!」


子供みたいだね。


目的のトナカイの前で「可愛い!!」を連発する

俺はの方が可愛いと思うけどね・・・な〜んて口には出さず思ってみたり。





「そうだ!この奥にね・・・サンタの家があるんだよ!」

「ほんとに!?見たい見たい!!って・・・・・・・・・・・・・・・どういう事?」

今まで楽しそうに笑顔を見せていたの表情が一変した。

「・・・えっ!?」

の言葉の意味が分からず素直に聞き返す。

「何で・・・そんな事知ってんの?誰かと来た事あるの!?私と・・・が初めてじゃないの!?」

「そんなに怒らなくても・・・」

「誤魔化さないでよ!!他の女と来た事あるんだね!?だからサンタさんの家も分かってたんだ!?」

「違うよっ・・・!!」

「隠さなくてもいい!!・・・・・・・二番目なんて・・・二番目なんて絶対嫌だから!!!」

「二番目って・・・」

「そうでしょ!?違う!?」

「・・・・・・・・・」

「やっぱ図星だ・・・もういいよ!!帰る!!!」

「ちょっ・・・待てよ!!!」

「うるさいっ!!離せ!!バカ!!!」


















人の流れとは逆方向にズンズンと歩いて行く

それを必死で追いかける俺。

端から見たらケンカしたのバレバレだよね・・・。



って、今はそんな事どうだっていい!

周りからどう見られてようが俺は今必死なんだ!!










「ほんと待ってよ!!!!」

「うるさいってば!!付いて来んな!!!」

「ねぇ・・・じゃあさ!俺が今からとっておきのスポットに連れてってあげるからさ!!」

「いいって言ってるでしょ!!しつこいなぁ!!」



「落ち着けよ!!!!」

やっととの距離が縮まり手を取った。

「もうっ!!離せーー!!!!!!」

暴れるの両肩を掴み俺の方へ向かせる。

「ねぇ・・・俺の話も満足に聞かないで勝手に怒ってるなんておかしいでしょ?」

「だって・・・」

呟いたは俺から目を逸らす。

「いいから付いといで!俺がいいとこ連れてくから!!」



























「って・・・帰って来ちゃったじゃん・・・」

「まぁ入りなよ」

「何!?どういう事!?・・・・・・・・・っもう!!敏弥の考えてる事分かんないよ!!」

「だから落ち着けって!!」



またまた玄関先で暴れ出すを中に入れるのに一苦労。





ムスッと膨れてソファにドカッと座る

「最低なクリスマスだよ・・・」

俺がキッチンで紅茶を淹れているとの小さな呟きが聞こえた。





紅茶をテーブルに置いた俺はの横へ座り

「さっきのアレだけど・・・」

「アレ?」

不機嫌満開の表情と声で俺を見る。

「あの・・・サンタの家・・・」

「だから!もういいって!!」

「聞けよ!!」

少し強めに言うとビクッと肩を震わせる。

大人しくなった

「あれさぁ・・・他の女と行ったわけじゃないんだよ?雑誌の取材でさ・・・」

「え・・・?取材?」

「そうだよ。取材で行った事あったんだ」

「あ・・・・・・・そうだったの?ごめんなさい・・・」

「誤解も解けたし、もういいんだけどね。それと・・・とっておきの場所・・・」

「いいよ・・・今日は・・・もう・・・」

「何言ってんの?」

「私の早とちりでこんな結果になっちゃって・・・敏弥も疲れたでしょ?だから・・・もう・・・」

「ここだよ」

「えっ・・・!?」

「ここが“とっておきの場所”」

「と・・・敏弥??」

「ここなら俺達だけのデートスポットだろ?お前が“一番”だよ」





この“一番”という言葉に俺の気持ちを全て詰め込んだ。


二番目じゃないって事を伝えたかった。













嫉妬深くてすぐ熱くなるお姫様は・・・今、俺の膝でスヤスヤと寝息を立てている。





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七「やっぱ家が一番落ち着くよな!?」
敏「何だ!?それ!?」
七「わざわざ、この寒い時期に外出んでもえぇって話や!!」
敏「そういう夢なの?これ?」
七「ちゃうがな!!とにかく・・・メリークリスマス!!!」
敏「意味分かんね・・・」
七「ってか!この夢、堕威さん出て来てないやん!!どういう事!?(逆ギレ)」
敏「知らねぇよ・・・お前が書いたんだろ・・・(呆)」