【眠り姫】
あれから、どれくらいの月日が経ったのか・・・
は目を閉じたまま・・・
ただ、機械の音だけがこの病室に響き渡る・・・・・
俺は・・・・・・
今日こそ目を覚まし「心夜」と笑顔で俺の名を呼ぶを期待する。
・・・・・・・が、
まだ開かない目。
手を握っても生気が感じられない。
頬を触ってもピクリともしない。
なんで目ぇ開けてくれへんの?
俺の顔見て笑ってや!!
お前の笑顔、また見せてや!!
俺・・・・あれからドラム叩かれへんようになってしもてん・・・。
メンバーに迷惑掛けてるって分かってるけど・・・やっぱりアカンねん!
俺が落ち込んでる時、励ましてくれたよな?
曲作りで煮詰まってる時、背中押してくれたよな?
ライブでミスった時、「それも愛嬌だよ」って笑ってくれたよな?
でも俺は、お前に何してあげた?
今、こんな状態のお前に・・・・・
何もしてあげられへん・・・
悔しい・・・!
自分がこんなに無力やったなんて・・・・
傍におってやる事しか出来ひんなんて・・・!!
どうしたらえぇねん!!
目ぇ、開けてくれよ!!!
・・・・・頼むから・・・
みゆもゆゆも、あれから元気ないねん。
お前に遊んで欲しいって・・・散歩連れて行ってって悲しそうに鳴きよんねん・・・
どうしたらいい?
俺一人じゃ何も出来ひん・・・。
薫くんも京くんも堕威くんも敏弥も皆、お前の事心配してんねんで?
分かってるか?
また、皆で遊びに行こうって言うてたやん!!
京くん言うてたで。
「が目ぇ覚めたら、しゃあないから般若の指輪あげる」って。
お前、京くんの顔見たら「指輪〜・・・指輪ぁ〜」言うてたやろ?
敏弥もの絵描いたるって言うてた。
堕威くんはギター教えたるって。
「は呑み込み悪いけど、この堕威様が特訓したら上達するやろ!」って・・・。
薫くんかて
「今度は機材いじらしたる」って・・・。
お前一回、皆で薫くん家行った時・・・よりにもよって薫くんが一番大事にしてる機材壊して・・・めっさ薫くんに怒られとったやん。
それからは薫くんに近付こうともせんかったなぁ・・・。
薫くん・・・「あの時、めっさキレても〜て・・・・・・謝りたいのに・・・は俺と目が合うと怯えた様な目して逃げよる・・・」って、ボヤいてた。
?
皆、お前の事好きやってんで?
だから時にはキツい事言うたり、分かってくれるまで説教したりしててんで?
お前は、その時の感情だけで「薫くん恐い」とか、「京くんが苛める」とか言うてたけど、皆・・・お前の・・・事が・・・好きやか・・ら・・・
アカン・・・・・涙が止まらへん・・・・
カチャ
「心夜・・・代わろか?」
堕威くん・・・
「・・・お前・・・泣いとったんか?目、真っ赤やぞ?」
京くん・・・
「京くんかて、目ぇ赤いねんけど・・・?」
「いやっ・・・!これは・・・違うんや・・・!!」
「何がちゃうねん。病院着くまで車の中で大声上げて泣いてたん誰や?」
「っ堕、堕威くん!!」
「そんな事より・・・心夜、お前も少し寝ろ。後は俺と京くんが見とくから」
「嫌やっ!!俺が寝てる間にが目覚ますかも知れんやろ?絶対、嫌や!!絶対、寝ぇーへん!!」
「心夜・・・」
「お前も意地っ張りやな」
京くんが呟く。
「意地ちゃうもん!俺・・・俺・・・に何もしてやられへんかった・・・。だから・・・だから・・・今こうして少しでも長い間、傍に居てやりたいねん!!」
「お前の気持ちは、よう分かった。でもな・・・お前まで倒れたら・・・・・が目ぇ覚めた時、お前が傍におらんかったら・・・どうする?」
・・・京くん。
「そうやで。が一番に見たいのは心夜・・・・・・・・・・お前の顔やろ?」
堕威くん・・・
「・・・じゃ、眠たくなったら寝るから。もう少し・・・このままおらせて・・・」
病室には4人もの人間がおるのに・・・聞こえるのは、やっぱり機械の音だけやった・・・・・・
京くんは長イスに腰掛けウトウトしてる。
堕威くんは窓から外を眺めてる。
カチャ
「「心夜・・・?」」
薫くんと敏弥が顔を覗かせた。
「・・・は?」
誰ともなしに薫くんが聞くと
「・・まだ・・・・・」
呟きながら、堕威くんはに視線を移す。
敏弥がに近付く。
頬を撫でたり、手を握ったり・・・
「・・あっ・・・・!!」
敏弥が小さく叫んだ。
「今、反応したよ!俺の手、握り返した!」
「ほんまか!?」
京くんがガバッと起き上がる。
「・・・っ医者や!!医者呼んで来い!!」
薫くんが叫んだ。
堕威くんが駆け出す。
敏弥はの手を俺に預けた。
俺は静かにの手を包む。
・・・・・・・・・・!!目ぇ覚ませよ!ほんまに・・・頼むから・・・
しばらくしたら堕威くんと一緒に医者が現れた。
あっちこっち確認する医者・・・・。
・・・と・・・・・ピ――――――――――――――――――
!!!!!
皆が、一斉に医者を見る。
誰とも目を合わさず、医者は首を横に振った・・・・・・・・・・
最期に俺の手を強く握り返し・・・・・そのまま・・・永遠の眠りについた・・・・・・
・・・・・・・最期のお前の手の温もり・・・一生忘れへんから・・・・・
・・・・・おやすみ・・・・・
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心「・・・初っ端がこんなん?」
七「・・・・・・・・」
心「何か喋れよ!」
七「・・・・えっ!?何!?」
心「おい!!聞いてへんかったんかい!!」
七「・・・いや・・・・・・・ただ悲恋が書きたくて・・・誰にしようか迷ってたら心夜さんに・・・」
心「もっと、京くん等みたいなん書いてや・・・」
七「分かりました・・・練ります」
心「・・・ほんまかぁ??(疑)」
七「ほんまやって・・・!(よそ見)」