【Secret Mission】







「なぁ、ちょっと皆に・・・相談があるんやけど」

音合わせの合間の休憩中に俺はメンバーに話しかけた。



「どしたんや?堕威・・・改まって?」

薫くんが口を開く。



とケンカでもしたんか?」

京くんがニヤッと笑い俺を見た。



「ぁあ!?ラブラブじゃ!!」

即返す。



「なぁんや・・・・おもんなっ!」

京くん・・・覚えとけよ・・・。





「で?相談って?」

敏弥が話を元に戻す。

「・・・うん、実はな・・・・・・・・」





























「よっしゃ!OK!協力するわ!」

「いいじゃん!!それ!」

薫くんと敏弥は快く乗ってくれた。



それに引き換え京くんは・・・

「さぶっ!!さぶいわ!堕威くん。よう、そんな事考えんなぁ?」

・・・・・こいつ・・・!!



「心夜は?乗ってくれる?」

京くんを無視して心夜に振る。



「・・・えぇけど・・・・・・」

「ありがとう!皆!やっぱ仲間ってえぇなぁ!」



「ちょぉ、待てや!俺、OKしてへんで?」

「強制じゃ!!」



俺が怒鳴ると

「・・・はい。すんません・・・。OKです・・・」

京くんは素直に頷いた。





勝った!!!




























それから俺等は仕事の空き時間、OFFの日を利用し着々と準備を進めた。





ある時は薫くんと心夜で場所の確保。



また、ある時は俺と敏弥で買い物。



京くんは・・・?と言うと・・・家に閉じ篭り、俺が渡したメモを参考に脳味噌フル回転!!








































「おはよ〜!皆、元気?」

久しぶりにスタジオに遊びに来た



「「「「お、おはよ〜・・・・・・」」」」

ぎこちない俺以外のメンバー。



「何?皆変だよ?ねぇ?堕威」

「そうか?いつも変やん」

「そか!そうだね」

こいつ、単純・・・・・・・





「ねぇ!新曲出来た?」

が薫くんに近付く。

「えっ!??い、いや・・・まだ・・・」

薫くん、キョドり過ぎ!!



「そう。楽しみだね!・・・・・・・・で?京くんは何書いてんの??」

が覗き込もうとすると

「見んなや!!うゎっ!!」

慌てた京くんは椅子ごと後ろに転がった・・・・。



「き、京くん!!」

が駆け寄る。



「痛っっったぁ・・・・」

「大丈夫?慌てて隠すからだよ。何書いてたの?見せてよ」

「あっ!アカンって!!」

言いながら京くんは、その“紙”をポケットに突っ込んだ。



「何よぉ!ケチ!」

「やかましわっ!!」

「ラブレターでも書いてたんじゃないの?」

が京くんを冷やかす。



「ちゃうわ!ボケ!!これはなぁ・・・!」

「京くん!!」

俺は慌てて京くんの口を塞ぎ睨んだ。

「・・・ッ!フッ・・・!!ぎょっ・・・ぎょめんにゃしゃひ・・・」




















































-Mission遂行前日-





俺はに一枚のチケットを渡す。



「・・何?コレ?」

「急やねんけど明日な、俺等の後輩バンドがライブすんねん。で、顔出したってくれへんかな?」

「いいけど・・・“邪鬼”??」

「そう。それがそのバンドの名前」

「ふぅん・・・何か聞いた事ある様な・・・」



ドキッ!!



気付いたかな?俺等が昔おふざけでやったバンド名・・・・。



「明日だね?分かった」

良かったぁ・・・・気付いてないみたいや。





















-Mission遂行当日-





俺等は朝からバタバタと走り回ってた。

なんせ、いつものライブじゃないからスタッフがおらへん。

全て自分等でせなアカンからな。









































一方、は・・・・・・





「ここかぁ・・・ほんと小さなライブハウス」

堕威達も、こういう所から大きくなっていったんだよね。



ってか・・・・・私来るの早かった??

それらしい子、誰も居ないんだけど・・・。



もう一度、チケットを確認する。



『19:00開演』



もう、18:45なんだけど・・・・。



まぁ、いいか・・・・と会場に入ろうとすると

ちゃん!!」

振り返ると

「い、井上さん!!」



何で?

「何で井上さんがここに居るの?」

「いいから、早く入って!」

井上さんに急かされ会場に入る。










ガラン・・・・とした会場内・・・。

ほんとに誰も居ない・・・・。



何?ほんとにライブなの?

「ねぇ?井上さん?」

と振り返ると・・・・居ない・・・・・

何なのよぉ!!!





少しイライラしながら、ボーっとしてると急に暗転!



えっ??

始まっちゃうの??

お客さん・・・・私だけ・・・・・??



なんて思ってるとステージ上に人影が・・・。

最初に現れたのは・・・・!



小汚い袋を被った人・・・・。

ドラムセットの前へ・・・。

次々と現れるメンバーも同じ様な物を被ってる・・・。

そういうバンドなの??



最後にボーカルらしき人が現れて・・・・

シャウトしたかと思うと“FILTH”だ!



Dirのコピーなんだ・・・・



ボーカルさん、凄く歌上手い!!

それに京くんの声によく似てる・・・・・・。



何曲かDirの曲が続いて・・・・

“腐海”だ・・・・・。



私の一番好きな曲・・・。



・・・・・歌詞が・・・・・違う・・・・・・・。



あれ?この歌詞・・・・??








“腐海”が終わると、メンバーさん達が被っていた袋を取った・・・。



!!!!!



心夜・・・敏弥・・・薫さん・・・京くん・・・堕・・・・威・・・・



私が呆然としてると

「今日は俺等“邪鬼”のライブに来てくれてありがとう」

京くんが言う。



「え〜と・・・・・・上手ギターさんから報告があります」



京くんがそう言うと、堕威が私に何か投げた・・・・・



何とか受け取れた“それ”は・・・・・小さな箱・・・??



「開けてみ〜!!」

堕威が叫ぶ。

言われるまま私は包みを開けた。







!!



ゆ、指輪・・・!?



私は堕威の顔を、まじまじと見つめた。





・・・結婚しよう・・・」



だ、堕・・・威・・・??



私は押し寄せる涙を止める事が出来なくなり、その場に泣き崩れてしまった。



?どうした?何で泣くんや?」

オロオロしながら、堕威は私の傍にしゃがみ込む。



「・・・何でって・・・っく・・・・・・っひ・・・っく・・・」

私は嗚咽を漏らしながら必死に返す。





「俺と・・・結婚してくれへんか?」

「堕・・・威・・・・・」



「アカンか?」



私は無言のまま首をブンブン横に振った。



「・・・・それって・・・OKって事?」



コクコク!!

今度は首を縦に振る。



「やったぁぁぁああーー!!マジで!?嬉しい!!」

そう叫ぶと、堕威は私を思いっきり抱き締めた。





・・・・・・・・そして、口付け・・・・・





唇を離すと堕威は

「指輪、貸してみ。付けたる」



そう言って指輪をはめてくれた。



「結婚式とか挙げられへんけど・・・・えぇか?」

堕威は申し訳なさそうに私を見る。



「何言ってんの・・・?こんな良い結婚式、他にないじゃん!!」



私は精一杯の笑顔を堕威に向けた。













ありがとう・・・堕威。



そして・・・・・・皆。



今日の感動は一生忘れないよ!!!







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七「堕威さん夢!!初の堕威さん夢はどうやった!?なぁ!?なぁ!?」
堕「う〜ん・・・」
京「何やねん、これ!最後俺等ないがしろやんけ!」
七「しゃあないやん!これ以上、余談増やすと収集つかんし・・・」
京「余談って・・・俺等余談か!?なぁ!?余談なんか!?」
七「・・・堕威さん?」
堕「・・・う〜ん・・・」
七「堕威さん・・・この話気に入らんかった?」
京「ヴォイ!!俺、無視か!?無視なんか!?」
七「うるさい!京さん!!・・・堕威さん?どうしたん?」
堕「・・・うぅ〜ん・・・」
七「京さん・・・堕威さんが・・・おかしい・・・」
京「ほんまやな。堕威くん、ほっといて次の夢書いたら?」
七「そうします」
堕「・・・・・・・うぅぅぅ〜〜ん・・・・・・」