【季節はずれの二人花火】
9月に入ったばかりのある夜。
俺は10代目ん家の帰り道にある堤防を横切ろうとしていた。
煙草をくわえながら、いつものようにボーッと道沿いを歩く。
ふと、視界に入った小さな明かり。
堤防の下の方を見てみると、一人で座り込んでいる人物を発見した。
・・・・・・・・?
暗くてはっきり分からなかったが、あれは確かにだ。
見間違えるはずはない。
断言出来る。
なぜかって・・・・・・・・・
それは・・・・・・・・・・・・・
俺がの事を好きだからであって・・・・・・・・・・・・うん・・・。
無意識のうちにの前に立っていた。
俺の気配に気付き、ゆっくりと顔を上げる。
「ご・・・獄寺・・・・・・・・・・くん?」
あまりの突然の出来事には言葉を詰まらせる。
「何やってんだよ?一人で・・・」
「・・・ん・・・・・・・・花火をね・・・しに来たの」
「花火!?もう9月だってのにか?」
「そう・・・9月だからだよ」
「それも一人で・・・か?」
「そうだよ。毎年やってんの」
「毎年!?変なヤツだな。お前・・・」
「変で結構です」
「しかもこんな時間に・・・もう日付け変わるぞ?」
「だからなの!この時間じゃないとダメなの!!」
いきなり声のトーンを上げ、ヒートアップする。
「この日、この時間じゃないと・・・ダメなんだよ・・・」
「何か・・・あんのか?」
「獄寺くんには関係ない」
その言葉に俺はかなりのショックを受けた。
でも、しゃあねぇよな。
別にとは仲良いわけでもねぇし、クラスが同じってだけでそれ以上の関係ではない。
俺の名前知っててくれただけでも良かったよ。
「・・・だよな。俺には関係ねぇよな。悪かったな。余計な事聞いちまって」
「・・・・・・・あ・・・そんなつもりじゃ・・・」
「でもよ・・・もう遅いし、女一人じゃ危ねぇだろ。送ってってやるから・・・」
「あ・・・いいよ。そんな・・・」
「よくねぇよ!見ちまったんだ。知ってるヤツが一人でこんな所で。男ならほっぽって帰るけどよ・・・お前は女だ。ほっとけねぇ・・・」
「・・・獄寺・・・・・・・くん」
「なんだ・・・その・・・花火したいんだったら付き合ってやるからよ・・・」
「え?いいの?」
「特別だぞ」
ぶっきらぼうに言いながら、目をそらした。
頭のてっぺんからつま先まで真っ赤なんじゃねぇかってぐらい全身熱くて・・・。
の顔をまっすぐ見てられなかった。
「ありがと」
微笑んだに俺は理性が吹っ飛びそうになった。
何とか平常心を取り戻し、の横にしゃがみ込む。
「はい、これ」
小さな手持ち花火を俺に持たせる。
「お・・・おう」
が火を点けてくれた。
いろんな色を放つ花火を眺めながら、は小さく呟いた。
「ハッピーバースディ・・・・・・・・・・」
「?・・・・今日って誰かの誕生日なのか?」
「うん。私の大好きな人の誕生日。もう日付も変わったしね」
そう言うと、自分の腕時計に目をやり
「今年もナイスタイミングだった」
と、満足気に言う。
「そうだったんだ。で?そいつは?」
俺が問い掛けると、俯いてしまった。
「・・・・・・・・・・・・・」
「ごめん・・・また余計な事聞いちまったみたいだな」
少し気まずい雰囲気の中、何本かの花火に明かりを灯し静かに見入る。
最後の線香花火が落ちそうになった時、が口を開いた。
「・・・・・・・・・・あなたです」
「へっ!?!?」
「獄寺隼人さん・・・・あなたが私の大好きな人です!」
「えっ・・・・・・・・マジ・・・・・!?!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
顔を真っ赤に染めて俯くを、俺は思いっきり抱き寄せた。
「・・・・・・・俺も・・・だ」
そっと耳元で囁き、きつくきつく抱きしめた。
それから毎年・・・
俺達は9月9日へと日付けが変わる時間、この場所で季節はずれの花火を楽しんでいる。
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七「はい!お誕生日おめでとう!隼人くん!」
獄「・・・・・・・・・・・」
七「ダンマリですか!?何か言おうや!」
獄「テメェなんかに祝われても嬉しくも何ともねぇんだよ!」
七「いやぁ〜ん!ウチも隼人くんの事愛してんのにぃvvvv」
獄「うっせ!!“隼人くん”って言うな!虫酸が走る!!」
七「・・・・・・・失礼ですね?お兄さん?」
獄「性懲りもなく、またこんなモン書きやがって・・・」
七「テヘッvv」
獄「果てろ!!!!!!!!!!!!」