【仲良きことは美しきかな】








「おはよー」

少し寝惚けながらリビングに入ってきた

の目に真っ先に飛び込んできたのはテーブルに座り、世界一幸せそうな顔をしているベルフェゴール。

そして、その奥のキッチンでいそいそと何やら作業をしているルッスーリア。


「おはよー!!」

ベルは幸せそうな笑顔のままに挨拶。

「ベル・・・朝っぱらからパフェ!?」

テーブルの上に乗っているベルの食べかけのパフェを目にし、明らかに怪訝そうな顔になる。

「うん。朝でも昼でも夜でもパフェは手放せないよ!・・・食べる?」

そう言ってベルはパフェをすくい、に向ける。

「ゲッ・・・私、寝起きなんだよ?分かってる?」

「その格好見りゃ分かるよ・・・・・・ん!」

更にスプーンをの前へ持っていく。

「分かってないじゃん!いらないから!」

「えっ・・・なんで?美味しいよ?ルッスーリアの特製パフェ」

「ルッスーリアのパフェが美味しいのは分かってる。でもね・・・?」

「でも?」

「朝から気持ち悪いんだよっ!!!」



――――ン・・・



ベルの胸にグサッと刺さる、のきつーい一言。

気持ち悪い・・・気持ちわるい・・・きもちわるい・・・キモチワルイ・・・


(それは朝から自身がパフェを食べるのが気持ち悪いのか、それとも・・・俺が気持ち悪いのか・・・!?)


幸せをいっぱい堪能しながら大好きなパフェを頬張っていたベルは、一気に奈落の底へ叩き落とされた。

石の様に固まるベルに、とどめの一言。



「太るよ・・・・・・・・」



その言葉で我に返ったベルは、

「俺は太らねぇよ!!」

そう言い放った。

「そんなの分っかんないじゃん!太った彼氏なんて嫌だなぁ・・・」

言いながらはベルを横目で見る。

「だから!太んないって!!」

「どうだろ?・・・この辺とかヤバいんじゃないのぉ?」

嫌味ったらしく、ベルのお腹辺りを摘む。

「触んな!」

「うっわぁ〜・・・太ったベルなんか想像したくなぁい!!」

「うるせー!!そんな想像しなくていいから!!」

「ねぇ、そう思わない?ルッスーリア?」

キッチンに立つルッスーリアに大声で聞く。

さっきから微妙に肩が揺れているルッスーリアは、出来上がった朝食を持ってテーブルに向かう。

「クックックッ・・・」

「ルッスーリア、笑ってたらお皿落とすよ」

がルッスーリアを手伝いながら言う。

「ルッスーリアもコソコソ笑ってんじゃねーよ!!」

ベルがルッスーリアにそう言うと、テーブルに朝食を置いたルッスーリアは、

「アハハハハ!!!」

と、思いっきり笑い出した。

「笑うなって言ってんだろ!」

「ベルがコソコソ笑うなって言うから思いっきり笑ったまでよ」

「こんの・・・!!!」

の口には勝てないみたいね!王子様!!」

「黙れ!!オカマヤロー!!」

「・・・なんですってぇ!?もう一回言ってみなさいよ!!」

「何度でも言ってやるよ!オカマオカマ!オカマヤロー!!ギャハハハハ!!」

「・・・もう、ベルにはパフェ作ってあげない」

ルッスーリアがそう言った途端、ピタッと止まったベル。

「えぇ!?やだよ〜!!作れよ〜!!」

「じゃ、私に謝りなさい!!」

「それも嫌!!」

「じゃ、作ってあげない!!」

「やだよ〜!作れよ〜!!」

「何気に命令口調なのね」

「だって俺、王子だもん」

そんなベルとルッスーリアのやりとりを見ていたが一言。



「ねぇ・・・二人って・・・・・・・・・デキてんの?」



「「んなわけねーだろっっ!!」」

同時に叫ぶ二人。

思わず本性が出たルッスーリア・・・思いっきり男言葉になってます。


そんな二人の息がピッタリ合った所で、

「う゛お゛ぉぉい!!朝からくだらない事で揉めてんじゃねぇ!早く朝食済ませて任務だ!!」

いつの間にか自分の席についていたスクアーロが一喝する。

スクアーロの後に続くように、ボス、マーモン、レヴィ、モスカも着席。

やっとの事で席につく、ベル、ルッスーリア、



「う゛ぉい!!お前今日は任務なかったよな?」

「うん。ないよ」

「じゃあ、今日一日俺に付き合え!」

「いいけど・・・どしたの?スクアーロ?急に?」

「デートだ!デート!」

「ハハッ!いいよ!」



そんな二人の会話をジーッと見つめる眼。

「・・・ちょっと・・・いい?」

我慢出来なくなったベルが口を挟む。


「何だ!?」

「何?」

声を揃えるスクアーロと


「デートって何?」

ベルが静かに聞くと、

「デートってのはぁ・・・」

がデートについて説明しようと・・・

「意味聞いてんじゃねぇよ!!」

ベルは声を荒げた。

「えっ!?じゃ・・・何?」

そんな事には動じない

「スクアーロとデートってどういう事かって聞いてんの!!」

「いいじゃんねぇ?今日は私もスクアーロもお休みなんだから」

「だからって俺を差し置いて、他の男とデートすんのかよ!!は!!」

「デート、デートってうるさいなぁ!今日一日、スクアーロと出掛けるだけじゃない」

「それが許せないって言ってんだよ!!」

「でもベルは今日任務入ってるでしょ?無理じゃん」

「くっ・・・・・・」

何も言い返せないベルは自分の唇を強く噛み締めた。



すると、がツツツツ・・・とベルの傍へ行き、

「今夜・・・二人っきりで遊ぼうね!」

耳元で囁いた。

と、ベルの表情がみるみる内に笑顔へと変化していく。

「・・・単純だね」

ベルを見てマーモンが溜息。

「秘め事だ・・・」

レヴィは頬を染めている。






「じゃ!任務頑張って来まぁ〜す!!」

緩んだ表情のベルに続きマーモンも席を立つ。

ボス、レヴィ、モスカも別の任務へ。

5人が仕事に行き残された3人・・・ルッスーリアは朝食の片付け。

スクアーロ、もそれを手伝う。





片付けも終わり、ひと息ついていると、

「アンタ達、デートでしょ?行って来なさいよ」

ルッスーリアにそう言われ、

「じゃ、行くか?」

スクアーロの言葉に

「うん!!!」

と元気よく返事をした。












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「スクアーロ、アイス食べよう!」

街をブラブラ歩いているとが言った。

「いいぞぉ」

2人はアイスを買い近くのベンチへ。

「スクアーロのアイス美味しそう・・・」

「ん?食べるか?」

「うん!!欲しい!!」

「じゃ、少し交換だ」

「うん!!」

そう言って、お互いの食べかけアイスを交換。




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「オイオイ・・・やりすぎだろ!スクアーロ・・・」

「ちょっと、ベル!ちゃんと任務に集中しなよ」

「俺の任務はもう終了。後はマーモンに任せるよ」

「ベル!!」

「何だよ!俺はあっちの監視で忙しいの!」

「帰ってからに言うよ?ベルが任務サボってたって」

「言えば?なんて全然怖くないもん」

「・・・そう・・・・・・・・じゃ、さっきのとの約束も無しになるね」

そう言って、ほくそ笑むマーモン。

「あっ・・・待てよ!ちゃんと集中するから!言うなよ・・・」

やはり彼女・・・には敵わない様子。




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「美味しかったね!スクアーロ!」

「だな」

「これから、どうする?」

「う〜ん・・・夕飯の買い出しにでも行くか?」

「うん!」



は今夜、何が食べたいんだ?」

「う〜ん・・・カレー!カレーが食べたい!!」

「じゃ、カレーの材料買って帰るぞぉ」

そうして2人はカレーの材料を買いアジトへ戻った。











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「「ただいま」」

スクアーロとは声を揃えて言う。

「あら!早かったのね」

ルッスーリアが笑顔で迎える。

「うん。夕飯の買い出ししてきたよ」

が言うと、

「ありがと。助かるわ。今日はカレーね」

「うん、私がカレーがいいって言ったの!」

「そう!じゃ早速、下ごしらえしましょう!」

「私手伝うね」

「じゃ、俺もやる事ねぇし手伝ってやる」

そうして3人仲良くカレーを作り出す。












「ただいまー!いい匂いするじゃん!」

「ほんとだね」

ベルとマーモンが帰って来た。


「お帰りなさい」

が出迎えると、

ー!!会いたかったよー!!スクアーロには何もされなかった?」

ベルは、を抱きしめ問い掛ける。

「く・・・苦しいよ・・・ベル」

「あ・・・ごめん・・・でさ!今日はどこ行ってたの?」

そう聞くベルの横で、

「白々しい・・・ずっと見てたくせに・・・」

呟くマーモン。

キッと睨むベルをよそに、

「あぁ〜疲れた・・・」

と先にリビングへ。

幸いマーモンの声はには届いていなかった様で・・・。


「今日はね、スクアーロとアイス食べて夕飯の買い出しに行ったの!」

「そか」

「今日はカレーだよ!ルッスーリアとスクアーロと3人で作ったの!早く食べよう」

そう言って背中を押すと共にリビングへ行く。





皆で準備をしていると、ボス、レヴィ、モスカも帰って来た。

全員揃いテーブルにつく。



「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」



皆、それぞれに話しながら食卓を囲む。

と・・・・・がある事に気付いた。

「ねぇ・・・ベル?何してんの?」

「えっ!?」

いかにも挙動不審なベルの態度。

ベルのお皿を覗く

「・・・ベル?」

「ななななな・・・なにっっ!?」

「何?コレ?・・・・・・思いっきり除けてるね?」

冷たい目でベルを見る

「あ・・・ベル、ニンジン残してる」

マーモンが呟く。

「ベル!!」

が怒鳴ると、

「・・・だって・・・嫌いなんだもん・・・」

下を向いたまま答える。

「ちゃんと食べないとダメじゃない!」

「そうだぞぉ!!好き嫌いはダメだぞぉ!!」

の言葉に便乗し、スクアーロが口を挟む。

「お前はうるさい!!」

そう言ってスクアーロの髪を思いっきり引っ張るベル。


「ベル・・・甘い物、好きでしょ?」

の言葉にベルの動きが止まる。

「・・・好きだよ」

「じゃ、ニンジン食べられるよね!?」

満面の笑顔で言う

「や・・・ニンジンは・・・」

「ニンジンも甘いじゃない」

「そうだけど・・・」

「食べない気?」

「・・・これだけは」

「何が何でも食べない気!?」

「・・・うん」

「そう!じゃ食べなくていいよ」

「ほんと!?良かったぁ!!」

と、安堵したのも束の間・・・

「今朝の約束は無しね!!」

軽く言い放たれ、またまた奈落の底へ堕ちていくベル。



「待ってよ!!何でそうなんの?それとこれとは話が別じゃん!」

「私と仲良くしたいんだったら・・・食べなっ!!」

ー・・・・・・・!!」



哀れ・・・ベルフェゴール。







こうしてヴァリアーの夜は更けていくのでした。



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七「ベルは甘い物が好きだといい。子供のようにニンジンが嫌いだと、なおいい・・・」
ベ「何言ってんの?」
七「こういうヘタレなベル・・・最高に大好物・・・ほのぼのヴァリアー一家素敵・・・」
ベ「やっべ・・・こいつ、イッちゃってるよ・・・」
七「アンタに言われたくない!!」